柊の庵

小さな庵から花、旅、食、猫のことをつらつら綴る他愛もない日記。

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桜とフラメンコ

    時は遡ること300年ほど前の元禄十六年四月六日
    大阪でほんとうにあった若い男女の哀しい恋のお話し。

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    根っから真面目で誠実で律義者の醤油屋平野屋の手代・徳兵衛は
    店の主人・久右衛門に見込まれ、義理の姪と夫婦になり
    跡取りになることを望まれる。
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    がしかし、徳兵衛にはすでに心に決めた恋仲の女性がいた。
    大阪は北の新地、天満屋の女郎・お初。
    そうとは知らぬ久右衛門は勝手に徳兵衛の継母の元へ
    結納金、銀二貫目を納めて結婚話をすすめてしまう。
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    それを知った徳兵衛は久右衛門に
    それはあんまりだ、いやだ、ときっぱりと断る。
    久右衛門はひどく立腹し、勝手にしろ!娘はやらぬ。
    その代わりに銀二貫目を返せ、店からも出て行け
    二度とこの地を踏ませぬ、とまくし立てる。
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    今まで世話になった久右衛門を怒らせたことに心を痛めながらも
    期日の日までに金を返さなければならない故、強欲な継母の元へ行き
    やっとの思いでお金を取り戻す。
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    その帰り道、兄弟も同然の親友・九平次にばったり出くわす。
    徳兵衛が大金を持っていると知るといなや
    大事があるので金を貸してほしいと懇願する九平次。
    三日の間だけとの約束で徳兵衛は九平次に金を貸してしまう。
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    ところが、九平次は約束の日になっても金を返しにはこなかった。

    一方、お初にも身請け話しがもちあがっており
    それぞれに追い詰められた二人は何日かぶりに生玉本誓寺で偶然再会し
    逢えなかった日々の辛さを伝えるお初、無沙汰を詫びる徳兵衛。
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    そこへ九平次が通りかかる。
    金を返せとせまる徳兵衛に開き直る九平次。
    挙句の果てには、徳兵衛が主人の金を使い込んだと町中に吹聴し
    騙しとった金で豪遊する始末。
    民衆から罵声を浴び、足蹴にされた徳兵衛は天満屋のお初の元に身を隠す。
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    このまま生きていても決して結ばれぬ運命ならば
    一緒に死にましょう、来世で必ずや添い遂げましょう、と告げるお初。
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    その夜、二人は店を抜け出し、曽根崎の天神の森へ。  
    死後見苦しくないように、と相生の樹に互いの体を縛りつけるも
    いよいよその瞬間が近づいてくると愛おしいお初を
    自分が手に掛けなければならないことに激しくうろたえる徳兵衛。
    早く殺して、とせがむお初。
    お初が息絶えると自らも返す刀で命を絶ってしまう徳兵衛。
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    これは言わずとも知れた、近松門左衛門作の「曽根崎心中」

    昨日、阿木耀子さんプロデュース、宇崎竜童さん音楽監督による
    舞台 『 フラメンコ曽根崎心中 』 を観劇してきた。

    こんなにも美しく、狂おしく、はげしく、せつない舞台があったのか、と
    ただただ感動し、今でもフラメンコの踊りとタップと歌声と音楽が
    頭の中を渦巻いて離れない。
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    物語を知らなくても、舞いとタップの音の強弱
    フラメンコギターをはじめとする演奏と
    徳兵衛、お初、九平次役の踊りに合わせた歌で
    セリフはなくとも、登場人物の心の機微が手に取るように感じられた。

    お初役   鍵田真由美さん
    徳兵衛役 佐藤浩希さん
    九平次役 矢野吉峰さん

    舞踊が息をのむほどな迫力で素晴らしいのは言うまでもなく
    黒木月水さんの土佐琵琶、村山二朗さんの篠笛
    前田剛史さんの和太鼓がフラメンコギターの哀愁ある音色と相まって
    妖艶で不思議な世界にいざなわれ、あっという間に時は過ぎ去った。

    また演者はもとより、衣装や舞台美術、照明、音響といった裏方も含めて
    一芸に秀でた一流と呼ばれる方たちが集結するとこうもすごいのか
    と、泣くことすらも忘れて舞台に見入ってしまった。


    なにかもっと他に伝える言葉はないのか、歯がゆくもどかしい・・・

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    そして。
    徳兵衛の切なさ、哀しみ、悔しさ、無念の想いを情感たっぷりに唄われた
    三浦祐太朗さん の歌声が憂いと翳りと抑揚があって胸が打ち震えた。
 
    昭和の歌姫と呼ばれながらも21歳という若さで引退された母君の唄声が
    ところどころでオーバーラップし、鳥肌がたち、鼓動がやまなかった。

    男性と女性という違いはあっても親子は声帯が似るから声質も似るのか
    DNAってすごい、とまざまざと思い知らされた。
 
    これからのあなたの飛躍を心から祈っていますよ。

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     奇しくも今日は二人の命日の四月六日。 
     天国のお初と徳兵衛がはらはら舞い散る桜の花びらとともに
     新国立劇場の演者の方たちの元へ舞い降りているような
     そんな気がする千秋楽。


 
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         ボクのおばちゃんは無芸大食なんにゃ・・・・・



     ■ フラメンコ曽根崎心中 リハーサルの様子
    
           
      
        
  
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Comment

春の便りありがとうございます。 

素敵な花見が出来ましたありがとうございます。
私のところ雪が降り冬に逆戻りです。
春を送って下さり嬉しい・・・・・。
  • posted by 北海道 雅子 
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  • 2014.04/06 21:01分 
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おへんじ。 

□雅子さま
ご無沙汰しています。
コメントありがとうございます。
雪解けがすすんでいたのに
先週はまた雪が積もったようですね・・・
ゴールデンウィークにお隣ですごしていた時も
横殴りの雪が降ってものすごく寒かったのを覚えています。

拙い写真ですが、雅子さんが喜んでくださるなら
これからも小さな「春」をここからお届けしますね。
  • posted by 鳴兎 
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  • 2014.04/06 23:07分 
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NoTitle 

こんにちは。
いつの時代も悲恋物語は
なみだですね。
桜が綺麗に咲いて
悲しげに散るのも風情があります。
こちらは連休の頃に咲きそうです。
  • posted by ノリかめ 
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  • 2014.04/08 10:16分 
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おへんじ。 

□ノリかめさま
コメントありがとうございます。
悲恋だからこそ、こんなにも長い歳月
語り継がれるんでしょうね。
現代でしたら、なにも心中するほどのことでもないのに
と思ってしまいますが、三百年も昔だと
致し方なかったんでしょうか・・・?
ノリかめさんのブログに辿り着いた時の記事が
満開の桜の花をつけたハートの木のお写真でした。
  • posted by 鳴兎 
  • URL 
  • 2014.04/08 20:00分 
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NoTitle 

これが例の舞台ね
歌姫の息子さん、ミュージカルとか舞台に向いてる声かもね。

しかし
なんせ生ってのは迫力あるよね
あたしは最近ハウステンボスで色んな舞台に触れてます
宝塚歌劇団のOBさんの舞台もなかなかよ~~
都会ほどいろんな舞台は観られないからね
ハウステンボス頼みよ
あ、江戸行ったら歌舞伎も観てみたいな~
今回は無理っぽぢゃけど~~(;´・ω・)
  • posted by 7子 
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  • 2014.04/08 22:00分 
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おへんじ。 

□7子さま
えぇーーー ミュージカルかぁ・・・
ミュージカル、にがてなんだよねーアタシ ←

生まれた時にマスコミが騒ぎ過ぎて
記者会見を開かざるをえなかったり
幼稚園の入園式に向かう車をカメラが取り囲んで
『怖い』って泣いちゃって、それでもマスコミ引かないし
結局、入園式には出られなかったんだよね・・・
そんな王子も今月で30よ。
うちらも齢とるはずだよねぇ・・・
おっと、7子さんは王子と2歳ちがいか、同年代ぢゃんww

てかさ、この桜の遊歩道、見覚えない?
蒼い瞳のあのコの散歩道だよ。
劇場のすぐ近くだから、舞台終わった後に
おにぎりとビールでお花見してきたよ。
  • posted by 鳴兎 
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  • 2014.04/08 23:04分 
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NoTitle 

おは。
あたしもミュージカル苦手(笑)
タダなら観る(笑)
聖子ちゃんの娘だってすっかりオトナでびっくりやまの
月日って残酷だわ(笑)

言われてわかったー!
確かに
見てたね。その道。(^ω^)
  • posted by 7子 
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  • 2014.04/09 08:09分 
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NoTitle 

おはようございますー。
素晴らしい舞台だったのね!
しかしそういう時代だったにしても悲しすぎますのぅ..
桜の歩道..とっても綺麗だね(*´ω`*)
  • posted by もちこ 
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  • 2014.04/09 10:49分 
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おへんじ。 

□7子さま
サヤカちゃん、今やってる映画・・・
えーっと、雪となんとかのなんちゃら?
吹き替え、評判いいんでしょ?
彼女も舞台がんばってるみたいだよね。
100%ありえないけど、王子と結婚したら・・・
て妄想してしまったよw

散歩道、お天気よくてきもちよかったから
花見客いっぱい、わんこもいっぱいだった。

□もちこさま
ムダに長くて暑苦しいっしょ?(-。-)y-゜゜゜

この舞台なら飛行機代とホテル代使って上京しても
『どうかしてるよね・・・』 なんて誰も言わないかと思われww

そしてフラメンコ、めっちゃ痩せそうよ やらんけどw

エリザベスには逢えなかったにゃ(=^・・^=)
  • posted by 鳴兎 
  • URL 
  • 2014.04/10 00:23分 
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Author:鳴兎
猫と酒と旨い肴と本が傍らにあれば
ほぼご満悦な日々。

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