柊の庵

小さな庵から花、旅、食、猫のことをつらつら綴る他愛もない日記。

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日食グラス

    前回のつづき

    1999年8月11日
    朝早くにホテルを発ち ウィーンの大きな駅の窓口に向かった
  あるぷ-12
    日本で予約しておいた オーストリア国内を周遊できるユーレイルパス
    そのチケット片手に 西にある「とある村」をたずねるために        
  あるぷ-14
    ウィーンのホテルで 前日の夜のうちに「旅に役立つドイツ語会話集」
    みたいな本から抜粋して メモ用紙に書きとめた
    『このチケットに 今日の日付を 打刻してください』
    と いう一文を駅員さんに見せ 無事に打刻印をもらい 列車に乗り込む
  あるぷ-15
    始発駅のせいなのか 6人席のコンパートメント(個室)は空いていた
    ほどなく列車は 定刻通りに出発し 2時間くらいすると
    モーツァルト生誕の地で有名な ザルツブルクに着いた
  あるぷ-10
    このままずっと 目的地まで二人だけなのかな と 思っていたら
    この駅で 大きなスーツケースをひきずったご夫婦が
    私たちのコンパートメントに にこっと微笑みながら入ってこられた
  あるぷ-2
    しばらくは特に おたがい干渉するでもなく 静かにすごしていたが
    なんだか急に 車窓から見える風景が 夕立の前のように
    どんどんと薄暗くなって 不気味な空気をまとってきはじめた
  あるぷ-13
    とうとう窓のそとは 信じられないくらいの漆黒の闇になった
    と そのご夫婦が紙の縁取りでできた 安っぽいグラスを眼にあてて
    『のぞいてごらんなさい』という仕草をする
  あるぷ-5
    友人と交代で そのグラスを覗いてみると
    真っ暗な大草原に 白い光を背後に放った 真っ黒い太陽が映った
  あるぷ-3
    『あ! もしかして皆既日食!?』
    広大な草っ原には 仰向けに寝っころがって 日食を鑑賞する人たちを
    走る列車のまどから何人も見かけた
  あるぷ-8
    1999年の8月11日に 『皆既日食』 が観られるとは知らずに予定をたて
    図らずも このご夫婦とコンパートメントを 共にできて
    生涯忘れられない想い出となったこのできごとを 今でも鮮明に覚えている
  あるぷ-1
    アメリカから来たという そのお二人は
    きっと お子さんもとっくに独立され 仕事もリタイアしての
    夫婦水入らず 悠々自適の旅なのだろう
    発音の悪い片言の英語で 思い切って尋ねてみると   
    欧州を3週間かけて 列車で縦断する旅なのだとか
    オーストリアを超えたら どんどん南下し最後はイタリアまで行くのだと
    この先訪ねる予定の国を 地図の上で指差しながら 話してくれた
  あるぷ-17
    お昼時になると突然 ご飯を食べに行ってくるから このスーツケース
    見ていてくれる? と言い残して二人仲良く 食堂車へ行ってしまった
    日本からやって来た見知らぬ小娘に 大切なスーツケースを
    委ねるとは思っても見ず 友人と思わず顔を見合わせて笑ってしまった
  あるぷ-9
    私たちの方が 乗り換えのために インスブルック駅で降りる時には
    どちらからともなくお互いに
    『Have a nice trip!』
    と言い合い別れた。
  あるぷ-4
    ほんの数時間にかわした たった5、6話の会話だったけれど
    オーストリアの旅の 一番の想い出になった
  あるぷ-7

    ※今回の写真は 列車に6時間揺られ 西へ西へと向かい
     バスに乗り換えて やっと辿り着いた「アルプバッハ」という小さな村に
     2日滞在して たくさん撮ったうちの何枚か
     その名前の通り スイスに近いので 今にもハイジが丘の向こうから
     ペーター! おじいさーん! 
     と 駆けてきそうな風景が そこかしこにかいま見える 美しい村





  あるぷ-16
       このころのおばちゃんは 若くて痩せてたんにゃ・・・





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Comment

NoTitle 

とても良い写真ばかりですね。旅先で皆既日食をみるなんて珍しいですよね。アメリカから来られた方は日食グラス持参で準備万端だったんですね(^^)

14年前だと写真に写っている子どもさんもきっと大きくなっているんだろうなぁ。

そうよ、柊平君。私も14年前はまだ若くて痩せてたのよ。みんな一緒だね(^^;)
  • posted by あにもも 
  • URL 
  • 2013.06/11 16:11分 
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おへんじ。 

□あにももさま
紙焼きの写真をスキャンしたのですが
スキャナーのローラー?が汚れていたのか
左寄りに縦の黒っぽいスジが入ってしまいました(-"-)
日食グラスは列車の売店で買ってきた
と言ってたような気がしますが、英語のヒアリングが
かなり怪しいので・・・(^_^;)
14年も経てば人間、否が応でもいろいろ変わりますよねw
  • posted by 鳴兎 
  • URL 
  • 2013.06/12 10:34分 
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NoTitle 

おはようございますー。
なんて素敵な旅の思い出!
この頃から猫の写真いっぱい撮ってたんですね(*´∀`)
お団子ヘアのかわいこちゃんは今頃大学生かな?
親のメール返信なんて後回しなんでしょうきっと。
ごめんなさいそれウチです(笑)
  • posted by もちこ 
  • URL 
  • 2013.06/13 11:12分 
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おへんじ2。 

□もちこさま
旅先で偶然会話をかわしたり、親切にしてもらったことって
ずっと、何年経っても心に残りますよね。
お団子ちゃん、眼が合ったら近づいてきてくれて
写真とってもいい? てジェスチャーしたら
このかわいいポーズをとってくれたんですよ。
ポニーの散歩中?の少年もしかり。
ゆったり佇む猫たちもしかり。
これだから、旅はやめられないんですよねー。
  • posted by 鳴兎 
  • URL 
  • 2013.06/13 21:14分 
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猫と酒と旨い肴と本が傍らにあれば
ほぼご満悦な日々。

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